高齢となった親の今後の生活を考える際には、まず、本人がどのような暮らしを望んでいるかを明確化することが大切です。同じ一人暮らしをする場合でも人によって理由は異なります。
元気に過ごしていて誰かを頼りにする必要がないと一人で暮らす人もいれば、子どもに負担をかけないために一人暮らしを選択する親もいます。また、これまで家族と一緒に生活していた人が、配偶者との死別や離別、子どもの独立や結婚などによって、意図せず一人暮らしを始めるケースも少なくありません。
高齢の親が一人暮らしをする際のリスク
ここでは、高齢の親が一人で暮らした場合に考えられるリスクを具体的に5つ紹介します。
怪我や病気
怪我や病気のリスクは年齢を問わず誰にでもあることです。しかし、人は年齢を重ねるにつれて視力や聴力といった体の機能が低下し、筋力も衰えてくるため、高齢者は特に怪我や病気のリスクが高くなります。
一人暮らしをしている高齢の親が急に怪我や病気をしたとき、離れて暮らしているとすぐに駆けつけられません。状況によっては救急車や家族を呼ぶこともできず、親が誰にも気づかれないまま命を落としてしまう可能性もあります。
認知症の発症や進行
認知症は早期発見し治療を行えば進行を遅らせられる可能性もあります。しかし、一人暮らしをしている親の場合、言動に異変があっても家族はなかなか気づけません。
認知症を発症していることに気づかないまま放置しておくと、症状が進行して重度化する恐れがあります。症状が重度化すると一人で生活できません。2025年には65歳以上の認知症患者が5人に1人になると予想されていて、高齢の親を持つ家族にとってはひとごとではない問題です。
※参考:認知症 | みんなのメンタルヘルス
家事の負担
家事は年齢を重ねて体力が衰えてくると負担に感じやすいものです。1日3回キッチンに立ち食事の用意をして片づけをしなければならないことは、高齢者にとって大きな負担となります。特に、膝や腰などに痛みがある場合には立っているだけでもつらいでしょう。
また、清潔な環境で気持ちよく過ごすために必要な掃除も、体力や気力が低下している高齢者には重荷に感じる作業です。家事を面倒に思い、料理を手抜きし掃除をあまりしなくなれば健康的な生活を送れなくなります。
栄養不足
家事を負担に感じて料理に対するやる気がなくなると、調理の頻度や料理の品数が減り、1日に必要な栄養素を十分に取れなくなる可能性があります。
特に一人暮らしの場合には、栄養不足のリスクが高まるため気をつけなければなりません。作った料理を食べてくれる人や一緒に食事を楽しむ人がいないことが、料理に対するやる気を失わせる場合があるからです。毎日の食事が、ただおなかを膨らませるためだけの簡易的な同じメニューになると、栄養バランスが偏ってしまう恐れもあります。
犯罪被害
オレオレ詐欺や振り込め詐欺のような、高齢者をターゲットとした特殊詐欺犯罪は近年増えており、その被害者は半分以上が70歳を超える高齢者です。60歳以上だと被害者数全体の約8割も占めています。
特殊詐欺は高齢者が一人でいるときに被害に遭いやすく、何かあったときにすぐに相談できる人がいない一人暮らしの高齢者は、特に注意が必要です。また、詐欺だけではなく殺人や窃盗、傷害事件なども体力がなく力の弱い高齢者が狙われやすい傾向にあります。
※参考:高齢者の犯罪被害対策 | 平成25年版 警察白書
寂しさ
一人暮らしをしていると気軽に話せる相手が身近にいないため、孤独感を感じて次第に元気を失ってしまう人もいます。特に、都心部では人間関係の希薄化が進み、かつてのような親しい近所づきあいを持たない地域も多くみられます。
そのうえ、若い世代の流入により同世代が周囲にいないため、人と接する機会すら持てない高齢者も少なくありません。一度周囲との関係が疎遠になってしまうと、他人と接することが苦手になり、より一層孤立してしまう場合もあります。
高齢の親と同居を考える際の注意点
高齢者の一人暮らしにはリスクがありますが、同居することが必ずしも良い結果を生むとは限らないため注意が必要です。
互いにストレスが溜まる
同居をすると親の様子を常にみられるようになります。これにより、お互い細かな様子まで目につきやすい環境になるでしょう。
義理の親子のみならず実の親子であっても、考え方の違いや世代間のギャップなどはあります。同居すると相手へあわせなければならないシーンも多く出てきます。お互いに監視を受けているような空気感のなかで、自分が思うように生活できないとストレスが溜まりやすく、良かれと思って始めた同居も逆効果となる場合があります。
援助の必要性を感じていない場合がある
どのような生活や生き方を幸せに感じるかは人それぞれです。親の感じ方が子どもと異なる場合、同居を無理にすすめることは親にとって迷惑な話となります。
また、誰の援助も受けずに自立した生活を送っていることをプライドとしている親の場合には、同居を申し出ることで、不快にさせたり自尊心を傷つけたりする可能性もあるため要注意です。
同居以外の選択肢を考えてみる
高齢の親の一人暮らしが不安になったとき、その生活を支える方法は同居だけではありません。たとえば、デイサービスを利用すれば、外出の用事や日常の楽しみ、話し相手を作れます。さらに、入浴や食事などの支援や健康管理のサポートを受けることも可能です。
また、高齢者に関する相談も幅広く受けつけている地域包括支援センターに相談すれば、一人暮らしの親が利用できる、便利な制度やサービスをみつけられる可能性があります。
高齢の親が一人暮らしする際のリスクへの対応策
高齢の親が一人暮らしをすることにはリスクがあるため、対応策を取っておくことは大切です。ここでは、具体的に5つの対応策を紹介します。
親が元気なうちにできるだけ情報を集めておく
介護が必要となったときに役立ちそうな情報や本人の老後生活に対する希望は、親が元気なうちに本人から集めておきましょう。具体的には、食事や外出、生活のリズムといった日常生活の様子や普段楽しんでいる趣味などの情報です。
さらに、親が親しくつきあっている人についても確認しておくと役立つ場合があります。近所に親しい人がいる場合には連絡先を聞いておくと安心です。緊急時に様子をみに行ってもらうなど助けてもらえる可能性があります。加えて、経済状況を聞いておくことも大事です。介護にはお金がかかるため、貯金や借金、加入している保険などは確認しておきましょう。
見守りサービスを利用する
セキュリテイ会社などが提供している、見守りサービスを利用する方法も対応策となります。見守りサービスとは離れて暮らす家族が親の様子を確認できるサービスです。
親と連絡が取れないとき家族は不安になるものですが、遠方に住んでいるとすぐに駆けつけられません。また、行き来しやすい距離に住んでいても、仕事などで忙しいと頻繁に様子を見に行けない場合もあります。
そのような際でもカメラやセンサー、スタッフの訪問などにより親の様子を確認し、異変時には家族に連絡をくれたり、親の元へ駆けつけてくれたりする見守りサービスは頼りになるサービスです。
定期的に外出する機会を設ける
親が積極的に自分から出かけない場合には、家族が外出する機会を作ることも大切です。家に引きこもる時間が長くなると、人と接する機会が減り精神的に落ち込みやすくなります。
また、歩く時間が少なくなり運動量が減ると、足腰の筋力や食欲の低下にもつながるため、定期的な外出で体力をつけさせることが大事です。無理なく参加を続けられそうなサークル活動やデイサービスなどへの参加を、親にすすめてみるとよいでしょう。
さまざまなサービスを活用する
一人暮らしの親ができる限り安心して過ごせるように自治体や民間の企業、ボランティア団体などが行っているサービスを活用するのも対応策です。たとえば、親に介護の必要が生じたときに介護保険サービスは便利に利用できます。
介護保険サービスとは、要介護度に応じた利用限度額内であれば、1~3割の自己負担で介護支援を受けられるサービスです。自宅での身体介護や生活援助、訪問看護などを定期的に行ってもらえるほか、段差の解消や手すりの設置など、安全に暮らすための自宅改修に対する助成金も受けられます。
そのほか、高齢者の見守りやごみの回収支援などを、自治体独自で行っているところもあるため、役所の窓口やケアマネジャーなどに相談してみるとよいでしょう。さらに、ボランティア団体や民間の企業などにも高齢者の見守りや家事の代行、お弁当の配達などを行っているところがあります。
関係者と連携する
一緒に住んでいないと自分で日常的な親の見守りができないため、特にほかの人の協力が必要です。たとえば、定期的に声をかけてくれる近所の人や親しい友人は心強い存在となります。親の話し相手ができるだけではなく、異変があったときに早く気づきやすくなるからです。
また、ヘルパーやかかりつけの医師など介護や医療の専門家にも、親の様子を気にかけてもらえるようにしておくとより安心できます。各種関係者には帰省の際などに挨拶回りをし、情報交換をしっかりしておきましょう。
まとめ
高齢の親の一人暮らしにはさまざまなリスクがあるため、きちんと対応策を取っておくことが大切です。対応策はいろいろありますが、親の様子を定期的に確認できる体制を整えておくことが重要となります。
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